2006年6月5日 NO.1
◎今治市西海岸
 5月4日、「宮崎の七五三ヶ浦でバーベキューをしているから」とお誘いがあり、久しぶりに訪れた海岸の美しさを紹介したいと思ったので記事にした。今年のゴールデンウィークは、この宮崎や大角海岸など、キャンプの出来るところはどこもテントでいっぱいであった。

 今治市の西側の海岸は、来島海峡など東側と比べて荒々しさが無くゆったりとした感じで、前回紹介した鴨池海岸など、あまり有名ではないけれど観光資源としてすばらしい価値を持っている。

photo-1 中央の岬が御崎(みさき)、御崎神社
photo-2 左奥が高縄山

 宮崎七五三ヶ浦(しめがうら)海岸周辺地域は、瀬戸内海国立公園第2種特別地域に指定され、松くい虫の防除効果もあり松の自然林が残っている数少ない地域になっている。人里から少し離れているので、静寂な環境で、余暇をゆっくりとすごしたい人にうってつけの地である。

 この海岸は、灯台の建つ梶取鼻と御崎、二つの岬に挟まれた入り江で、梶取鼻にはこの地を訪れた森繁久弥さんが詠んだ詩碑があり、御崎には牛馬の神様の御崎神社がある。宮崎地区集落からの御崎神社参道は、樹齢数百年の「やまもも」の並木道が山の尾根を越えて続いている。

 やまももの木はこの参道だけでなく岬全体に多く見られ、そのほか椿や樫など海に突き出た岬特有の植生が広がって、足摺岬や潮岬と似かよっている。

photo-3 御崎神社 青銅、石、瓦の牛像が並ぶ
photo-4 やまももの参道

 入り江の中の島(岩礁)に2本の松がある。そんなに大きくはないが、樹齢は百年くらいと思える。この岩礁には1970年頃までもっと大きな松が数本あった。このため、松をよみがえらそうと考えて、松山港沖のターナー島の松を復活させた実績を持つ北岡先生にご指導を仰ぎ、平成6年3月に高さ20〜30cmの苗数本を植樹した。(その当時の波方町役場建設課有志)

 順調に生育した松は背丈くらいになっていたのだが、この日確認してみると、すべて根元から折れて枯れてしまっていた。一昨年の台風被害によるものと思われるが、自然の力と、それらに負けずしっかりと岩礁に根を張り少しずつ成長を続ける天然松の偉大な生命力に驚愕した。

photo-5 根で岩礁をつかみ成長する天然松
photo-6 根元から折れた植樹松

 石垣島を見たあとで地元の海岸をじっくりと見ていると、この地域のポテンシャルの高さを感じずにはいられない。観光立地のために無策ではいけないが、じっくりと落ち着いた取り組みが大切だと思う。地元の人々が、この環境の中で余暇をゆったりと楽しむことが出来るようになれば、自然と他所からも人々が集まってくるのではないだろうか。
      次へ   INDEXへ