20131003 NO.1
◎近隣諸国(韓国、中国)との関係
6月議会に、「日本政府に対し日本軍慰安婦問題の早期解決を求める意見書提出」と、「日本政府が、事実にもとづく歴史認識を国内外に表明することを求める意見書提出」の請願、陳情が提出された。これらは、日本の進むべき道を誤らせるとともに、今後の地域づくりを阻害する内容になっていると感じた私は、いずれも不採択にすべきとの立場で討論を行った。

・従軍慰安婦問題
従軍慰安婦問題は、文筆家吉田清治のフィクション作品出版に端を発し、韓国で、告発、抗議デモなどが行われて表面化した。後に、吉田清治は捏造したと認めているのであるが、当時の宮沢内閣は反日デモの高まりを恐れ、謝罪するとともに真相究明の約束を行っている。

韓国政府によって選ばれた16人の元慰安婦から聞き取り調査を行うとともに、膨大な歴史資料を集めて真相究明を図った後、河野官房長官が談話を発表してしまった。その内容は、ご承知の通り、軍による強制の意思が働いていたことを強く示すものであった。

しかし、宮沢内閣が総力を上げて収集した膨大な資料の中には、日本軍による強制を示すものはただの一片も見つかっていないばかりか、唯一発見された文章は、昭和13年の陸軍省通達「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という命令書のみであり、これは、軍に慰安所設置の了解を得ていることを利用して、一般市民の誤解を招くような行為をする業者、誘拐まがいのことをする業者がいるので、警察と連携して軍の威信が損なわれないようにせよというもので、逆の証拠にもなりうるものであった。

韓国側が主張する証拠は元慰安婦の証言のみであって、しかも、16人からの聞き取り調査は韓国政府の強い要望で実現し、初めから日本軍による強制連行を認めさせるためのものであった。もし日本が強制を認めれば、それが後々、新たな補償問題につながっていく可能性が懸念されるのを見通した韓国政府は、「日本には金銭的保証は求めない。補償の必要があれば、韓国政府の責任において行う。」と明言し、強制連行を認めるべく、日本側の背中を押したのも事実である。それが、いつの間にか補償と謝罪が声高に叫ばれるようになってしまっている現実を、我々はどのように捉えればいいのだろうか。

当時の、石原信雄官房副長官は、「女性たちの名誉が回復されるということで強制性を認めたのであり、国家賠償の前提としての話だったなら、通常の裁判と同様、厳密な事実関係の調査に基づいた証拠を求めていたはずだ。」と語っている。河野談話は、そのような補償問題ではないという前提で、善意で日韓関係に配慮して認めたというのである。

今や、河野談話は韓国政府の対日交渉の切り札となったばかりか、韓国の猛烈なロビー活動で、国際社会において、日本軍による強制連行の動かぬ証拠とされ、日本非難の支柱になってしまった。

韓国の、日本に対する賠償請求問題については、1965年の日韓基本条約締結とそれに基づく多額の資金提供によって、個人的なものも含めて完全かつ最終的に解決されたことになっている。条約締結後は、韓国政府・国民は日本に対して一切の賠償請求ができないと定められているのである。

日本から提供された資金のうち、個人補償に使われたものはほんのわずかであり、その大半が韓国国内のインフラ整備に使われて、漢江の奇跡と呼ばれるような発展につながった。大戦中やそれ以前のことに対する個人補償が、朝鮮戦争を経たこの時期に公平、公正にできるわけもなく、時の韓国政府がとった資金の使い方は国民全体の利益につながるものであり、評価できると私は思っている。

ところが、韓国国内では、この日韓基本条約の内容が一般に明らかにされておらず、21世紀になってから、個別補償を日本政府ではなく自国政府に求めなければならないことを知らされた韓国国民は騒然とし、条約締結を非難する声が上がったりしている。あらためて日本非難を行い、補償請求をし、国民の矛先を日本に向けなければならないほど逼迫した国内事情があるのかもしれないが、このようなことでは、成熟した民主国家としての良好な隣国関係はいつまでたっても実現できない。

慰安婦問題は、軍による強制はないとしても、騙されたり売られたりするなど本人の意に反してその立場に置かれた者にとって、強制されたのと何ら変わりない。日本人の良心によって民間主導のアジア女性基金が設立され、その救済にあたったことは、もっと評価されても良いのではないだろうか。

戦場は狂気である。特に、1945年8月9日以降の満洲、朝鮮北部の惨状は、とても目を開けて見られるものではなかった。侵攻してきたソ連兵は、軍人としての戦闘行為を行うだけでなく、民間住宅に押し入り、手当たり次第に強奪、強姦、殺戮を繰り返した。終戦を迎えても止むことはなく、引き揚げ列車を強制的に停車させてまでこれらの行為を続けたのである。それに追い打ちをかけるように朝鮮人などが同様の行為に及んだというから、そこは人道など無縁の地になっていた。

「こちらの方がひどいじゃないか」などと言うつもりはないが、狂気のさなかで起きたことを、70年近くたった今になって公平、公正に補償できるわけがない。慰安婦になった人は日本人にもいるわけであり、韓国が主張するところの従軍慰安婦問題は、確たる証拠が見つかったのであれば、韓国政府が補償すべきであり、少なくとも、国家間の争いごとにしてはならないと私は思っている。

・事実にもとづく歴史認識
今回の陳情は、河野談話、村山談話を正しい歴史であるとし、これらをさらに深めた歴史認識を国内外に表明せよというものである。

河野談話については、先に述べたとおり、事実に基づいてはいない。村山談話は、特に中国、朝鮮、韓国を意識したもので、日本が敗戦するまでの間、とにかく悪いことをしたのだからひたすら謝るといった類のものである。この中にどれだけの事実があるのだろうか。日韓併合を植民地支配ととらえる韓国の言いなりになり、捏造であるとの指摘が多い南京事件を正当化する中国にとって、思い通りの解釈ができる談話である。

日韓併合が行われた1910年当時朝鮮は破綻状態であり、その統治にあたって日本は、朝鮮人を同じ日本人とし、当時世界最大級の水豊ダムをはじめ、発電所、病院、鉄道、工場を建設し、100校以下であった公立学校を、京城帝国大学を頂点とする5,213校に増やし、ハングル語教育、識字率の向上に努めている。半島の人口も、日本統治の35年間にほぼ倍増するといったように、西欧諸国の植民地支配とは全く違ったものであったことも、まぎれもない事実である。

西欧諸国の植民地が独立した時に、その宗主国が賠償・補償をした事例は一切ない。それは、植民地が形成された当時の国際法では、戦争を経た植民地支配であっても合法であったからであり、逆に、独立を勝ち得た国のほうが開発整備などにかかった費用を宗主国に支払うのが通例になっている。

これに対して韓国は、日韓基本条約締結交渉時に莫大な賠償金支払いを要求するなど、国際ルールを無視して戦争被害国になりすましている。合邦状態で戦時を過ごしたのであるから、日本が加害国であるなら韓国もまた加害国になるのであり、どう転んでも被害国にはなり得ない。

共産主義国の膨張を食い止め、東アジアを安定させることを求める米国の執り成しがあって、日本は朝鮮半島に残した資産を放棄するとともに、韓国の国家予算の数倍もの経済協力金を独立祝いとして支払うことで日韓基本条約が締結されたのである。その後のODA、民間の資金・技術援助の額は、今、振り返ってみると、「エッ、そんなにも」と驚くほどである。極めつけは、1997年の韓国通貨危機に際して、先進諸国がサポート不用を言う中で、日本は、迅速に100億ドルもの金融支援を行って韓国を救済しているのである。

20世紀前半の日本の歴史は、戦後のGHQ統治によって捻じ曲げられてしまった。そこには、原爆投下や無差別空襲などを正当化しなければならない米国の事情があり、日本が悪者でなければならない点で、米国、韓国、中国の利害関係が一致している。このため、日本の政治家は正しい歴史を語ることもできず、村山談話のような不用意な発言を訂正する意思を見せただけで国際的なバッシングを受ける状況に追い込まれてしまっている。

日本国民の立場であれば、冷静に、公平に歴史を見つめることができるのではないだろうか。他国がどのように言おうと正しい歴史を認識し、特に、教育現場では、どのような外圧がかかろうとも正しい歴史を教えなければならない。

・これからの日韓、日中関係
経済力においても、その国の企業力においても飛躍的な発展をとげているこの両国に対して、今後、日本の国を挙げての支援は必要ではないと思う。それぞれの国の企業が、その企業活動の一環として、国籍に関係なく提携、協力をしていくような先進諸国では当たり前の国際関係が構築されなければならない。良きライバルとして競い合いながら、この東アジア地域が発展していくような日韓、日中関係を望みたい。



      次へ   INDEXへ