20200426 NO.1
◎FACTFULNESS(ファクトフルネス)
最近(と言っても3ヵ月前)、次男に勧められて「ファクトフルネス」という本を読んだ。2018年の世界ベストセラーであり、日本語版は2019年1月の発売日を待たずして重版が決まったという有名本である。

著者のハンス・ロスリングは、1948年スウェーデン生まれの医師で、若い時期にはアフリカの僻地医療に尽力し、数々の功績を残している。その後、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについて研究を進め、さらに、「事実に基づく世界の見方」を広める活動を行って、その集大成ともいえる本書執筆中の2017年2月に他界した。共著者の息子夫婦が完成させて発刊された。

photo-1 

本の内容については、ネット上に要約したものなどがあふれているので少しだけにするが、世界事象の三択質問を13問出題し、教育レベルの高い人であっても正答率が3割に満たない結果によって、人々がとんでもなく世界を誤解し、事実に基づいて世界を見ることができていないことを示している。

〈質問例1〉世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう? 50歳 60歳 70歳   正解70歳
〈質問例2〉15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。国連の予測によると2100年に子供の数は約何人になるでしょう? 20億人 30億人 40億人  正解20億人

事実に基づいて世界を見ることができない理由は、誰もが持っている10の本能であり、この本では、その10の本能をわかりやすく説明し、それらを抑える方法を具体的に教えてくれる。地域づくりに資することを命題とする身にとって、新しい目を授けてくれる貴重な一冊に出会うことができた。

この本の記述の中で一番印象に残ったのは、「社会と文化は常に変わり続けている。小さくてゆっくりとした変化であっても、積み重なれば大きくなる。毎年1%の成長では遅いと思えても、70年続けば倍になる。2%なら35年で倍だ。3%ずつ成長すれば、倍になるのに24年しかかからない。」とのくだりである。

経済成長では、我が国が停滞していた歴史的に言えばわずかの間に、近隣諸国が追いついてきたことを見れば明らかであり、まだまだ貧困にあえいでいるアジアやアフリカの諸国であっても、想像をはるかに超えた短期間で発展する可能性だってありうる。

常々、日本の伝統を大切にした国づくり、地域づくりを主張している私であるが、今後の国際社会の変化は想定できるものではなさそうであり、伝統・文化についてもあらためて考えてみなければならない。

それからもう一つ。著者が、心配すべき五つのグローバルなリスクを示している。それは、感染症の世界的流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困。感染症については著者の心配がさっそく現れてきた。この本を読んだ時点では、まだ武漢限定レベル。今になって思い出し、記事にした次第である。

photo-2   青空のもとレンゲ満開 祈!人々が自由に動ける社会復活


      次へ   INDEXへ