20151123 NO.1
◎行財政改革
地方自治体が自由に使える財源の中で、地方交付税交付金が大きなウエイトを占めている。この交付金は、地方自治体の収入格差を少なくするために国税の一部を地方自治体に配分するもので、自治体の財政力に応じて算出された額が交付されている。自治体の規模によって運営する必要経費が違ってくるが、一律の基準で算定された必要金額から当該自治体の地方税収の75%を差し引いたものが交付金額となっている。

平成の大合併で合併した自治体の特典の一つに、合併算定替えと呼ばれる地方交付税算定の特例がある。どんなに小さな自治体でも、それぞれ首長がいて、議会が設置されているなど、合併してしまえば必要なくなる経費がたくさんあり、このため、合併後の自治体において算出される交付金額と、合併前の自治体それぞれで算出された交付金額の合計とでは大きな差が生じることになる。

合併算定替えは、合併後の自治体においても、合併前の自治体それぞれで算出された交付金の合計額を特例的に交付するというもので、合併後10年間これをつづけ、その後5年間で段階的に縮減されて16年目からは、本来であるところの、一つの自治体としての算定に戻されることになっている。今治市の場合、この特例的に加算された交付金額が約74億円であり、これがなくなってしまうと行政運営が非常に苦しくなってしまう。このことは日本全国、合併した自治体皆同じであり、連携して国に陳情活動を行ったところ、特例加算額の70%程度が継続されることになった。

photo-1  合併特例債を活用して完成したテニスコート
photo-2  完成記念 愛媛県新人体育大会ソフトテニス開会式

今治市では、市長などの特別職はもちろん、議会議員も合併と同時に一つの自治体としての形態をとっており、職員数も計画的な削減ができていて、70%程度の特例加算が続くのであれば、しばらくの間は、問題なく行政運営できるはずである。

そうは言っても、最近の社会保障費などにかかる経費の伸びはあまりにも大きいものであり、加えて、道路、橋梁などの社会インフラの劣化は想像をはるかに超えた状況で、今のうちから財政的な対応をしておかなければならないというのが執行部サイドの言い分である。このため、合併によって800件余りに膨れ上がった公の施設(箱物)を評価し、A,B,C,D,Eの5段階に判定、ランク付けをして、Eランクに判定された111の施設は廃止もしくは売却されることになってしまった。

この111の施設の中には、民間にその運営を任せた方が良いものや、ほとんど使われなくなって廃止しても問題ないものも多数あるが、多くの人に利用されているものもある。それなりに利用されているものにつては、本当に財政的な不足が生じそうなときに廃止すればよいのではないだろうか。

そもそも、将来的な財政対策を講じるための箱物整理をするのであれば、目標とする将来における箱物の配置計画、あるべき姿を先に示す必要がある。その計画実現に向けて統合、複合化した施設を新設したり、現有施設を長寿命化改修したうえで他の目的に使ったりしても良いはずである。そのような目線で提言をしていきたいと思っている。


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